ホワイトコート炭酸カルシウムでみかんの日焼け軽減対策に!

ホワイトコート

白石カルシウムのホワイトコートは、炭酸カルシウムが有効成分で柑橘・野菜等の銅水和剤の薬害軽減、かんきつのチャノキイロアザミウマ防除、りんごでのモモシンクイガ防除に登録のある農薬になります。

近年、地球温暖化により夏秋季の気温が上昇し、果実の日焼け症状が多発しています。

今回はみかんの「日焼け果軽減対策」としてホワイトコートの使い方についてご紹介します。

みかんの日焼け果が発生する要因

みかんの日焼け果は、品種によっても異なると考えられますが、主に梅雨明け後7月中旬~8月上旬と、8月下旬から9月にかけて発生が見られます。

夏季高温時における樹冠外周部の果皮表面温度は約44~45℃となり、果頂部の一部分が高温になると、果実からの蒸散が激しくなります。そして、果皮への水分補給が不十分となると、果皮の一部が異常に乾燥した状態に陥り、油胞が破壊されることで日焼けを生じます。

気象条件

曇天で多湿状態が続いたのち、晴天日の急激な温度上昇(高温)・直射日光により発生しやすくなります。これは曇天による低温多湿、日照不足により果皮が軟弱になり、その後の急激な蒸散に対応できないことが原因です。

樹体条件

着葉数が少ない樹では、果実が露出するため直射日光を受けやすく日焼け果が多い傾向にあります。

直射日光を受けた個所は外気温と比べ10度以上温度が高くなり、活発に蒸散が行われ日焼け果が発生しやすくなります。また、着葉数が多い樹では細根量が多く吸水力も高いため日焼け果の発生も少なくなります。

土壌水分条件

過度な乾燥や加湿など土壌水分の変化が激しい場合でも日焼け果の発生が多くなります。特に近年は、温暖化の影響により、晴天が続いた後、急激な降雨など土壌水分の変化が激しくなっています。

着果位置

上向きの天なり果や、果梗枝の太い果実では養水分を引っ張る力が強く果皮の成長が軟弱徒長気味になり、日焼け果が発生しやすくなります。

日焼け対策としての「ホワイトコート」

ホワイトコートは、炭酸カルシウム水和剤(炭酸カルシウム 95%)です。

白色の微粒子で果実表面を白く覆います。

それにより太陽光が反射されやすくなり、果実表面の温度上昇が抑えられることで、日焼け軽減の効果を発揮します。

ホワイトコートを使用することで光が遮られ、光合成量が減少するのではないかと懸念される方もいますが、これまでの試験結果では果実の生育や糖度などの品質には影響がないことが確認されています。

ホワイトコートの適用表

作物名使用目的希釈倍数使用液量本剤の使用回数使用方法炭酸カルシウムを含む農薬の総使用回数
りんごモモシンクイガ50倍200~700L/10a発生初期
散布
かんきつチャノキイロアザミウマ25~50倍200~700L/10a発生初期
散布
みかん日焼け軽減25~50倍200~700L/10a2回以内日焼け果発生前に散布
2024年12月11日現在(登録内容は一部抜粋しています。)

ホワイトコートの効果的な使い方

山口県の農業技術部 柑きつ振興センターが発表したホワイトコートの日焼け果軽減対策をご紹介します。

梅雨明け後の7月下旬と8月中旬の散布

梅雨明け後の7月下旬と8月中旬の2回散布(50倍)が有効でした。散布直後では白斑が残ることがあるので、散布は遅くても収穫1ヶ月前までの散布が良いでしょう。

ホワイトコート+樹冠表層摘果

さらに熊本県が日焼けや浮皮軽減技術として開発された樹冠表層摘果とホワイトコート(25倍)を組み合わせることで日焼け果軽減により高い効果が認められました。

【樹冠表層摘果】粗摘果時に樹冠表層部の果実と内成りの小玉果を摘果する方法

カンキツ類に発生する日焼け果の発生要因と軽減対策(農業技術部 柑きつ振興センター)

https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/61611.pdf

同じ炭酸カルシウム「クレフノン」との違いは?

ホワイトコートとクレフノンはどちらも炭酸カルシウム95%ですが、違いとしては、登録内容と粒子の大きさに違いがあります。

ホワイトコートの方は粒子が細かいという特徴があります。

日焼け対策以外にも?ホワイトコートで蒸散抑制

日焼け果は、温度上昇によって油胞や気孔が損傷し、緑色から黄緑色に変色し、異常な蒸散によって果皮の硬化や果肉のす上がり(粒果症)などが生じると考えられますが、蒸散により減酸が進むとも言われています。

これにより果実の味が酸味を欠き、品質が低下する原因となります。また、蒸散が過剰に行われることにより、果実内の水分が急速に失われ、果肉の組織が萎縮し、内部の細胞壁が破壊されることがあります。この結果、果実の肉質が劣化し、食味が損なわれるだけでなく収穫後の保存性にも影響を与えることが懸念されます。

ホワイトコートなどに含まれる炭酸カルシウムは、その微粒子が植物表面、特に気孔よりもクチクラ層(表皮の外側)にある隙間を物理的に覆うことで、異常な蒸散の抑制に役立ちます。この作用によって、過剰な水分の蒸発を防ぎ、植物の水分保持能力が向上します。さらに、炭酸カルシウムにアビオンEを組み合わせることで、植物表面の保護効果がさらに強化され、蒸散の管理がより効果的に行えるようになります。

また、ホワイトコートは表面が乾燥促進されるため黒点病も軽減できるというデータもあります。

銅水和剤へのホワイトコート加用によるカンキツ黒点病防除効果の向上(長崎県農林技術開発センター・果樹部門・カンキツ研究室)

https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/61611.pdf

ホワイトコートの使用上の注意点

【作業時について】

炭酸カルシウムは水に溶けにくく、沈殿しやすい性質があります。そのため、散布時にはタンク内の液を均一に分散するよう十分に撹拌しながら使用しましょう。

また、これは全ての農薬に共通することですが、散布後は使用した器具を速やかに水でよく洗い流しましょう。

【散布時期と汚れについて

散布時期にも注意が必要です。収穫時にホワイトコートが付着していると、出荷前にブラシなどで落とさなければなりません。白斑の残りに注意して収穫時期との間隔を考慮して散布を行ってください。

今回は、日焼け対策として「ホワイトコート」のご紹介をさせていただきました。
散布には一定の労力や資材コストがかかりますが、日焼け果の防止果実品質の向上に高い効果が期待できる、すぐに実践可能な対策です。

日焼け果にお悩みの方、対策に苦労されている方は、ぜひこの機会に導入をご検討ください。

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