みかんのヤノネカイガラムシ防除|発生時期・対策・農薬のポイント

ミカンにゴマのような茶色の虫が・・・

みかんの葉や果実に、まるでゴマを振りかけたような小さな茶色の粒が付いているのを見かけたことはありませんか?それはヤノネカイガラムシかもしれません。

ヤノネカイガラムシはその名の通り、矢じり状の形をした介殻(かいがら)で覆われているため、農薬が効きにくく、防除が難しい柑橘類の主要害虫の一つとされています。

多発すると樹勢の低下や枝枯れを起こし、商品価値が下がる原因にもなります。近年、ヤノネカイガラムシを含めたカイガラムシ類の発生が多くなっています。

こちらの記事ではヤノネカイガラムシに焦点を当て、防除適期や農薬など防除対策のポイントを解説します。

ヤノネカイガラムシとは?

ヤノネカイガラムシはカンキツ類に発生し、葉や枝、果実に付着しての養分を吸収しながら成長する害虫です。

1900年代初頭に中国から侵入し、長崎県で初めて確認されました。その後、国内の柑橘栽培地域へと広がり、現在では広範囲で問題となっています。

写真にあるように雌(メス)は、紫褐色をした矢じり状の形をした介殻で覆われており、体長は2.5~3.5mm程度です。

繁殖力も非常に高く、1匹の雌が平均で約150頭の幼虫を産出します。幼虫は孵化後すぐに雌成虫の介殻下から這い出し、わずか2〜3時間で定着し、一度定着すると雌は一生そこから動きませんが、雄は有翅成虫となり交尾のために雌を探します。

※有翅成虫(ゆうしせいちゅう)・・・翅(はね)を持った成虫。

なぜ防除が難しいのか?

成虫は硬い介殻に覆われているため薬剤を散布しても虫体まで薬液が届きにくく、防除効果はほとんど期待できません。

また、発生は一斉ではなく順次発生し、発生期間が長い場合には数週間に及ぶものもあり、園内ではさまざまな発育ステージの個体が混在する状態となります。多発生していると一度の防除では十分な効果が得られにくい点にも注意が必要です。

そのため、殻を被る前の幼虫時期・生育ステージが揃っている春先の防除が重要です。

また、ヤノネカイガラムシは枝の込み合った部分や葉の裏側など、薬剤が届きにくい場所にも多く生息します。日頃から適切な剪定を行い、樹冠内部まで風通しと日当たりを確保することで薬剤の到達性を高めるとともに発生しにくい環境を整えることが大切です。

ヤノネカイガラムシの防除対策とポイント

前述にあったように成虫は、殻に覆われているため散布しても薬剤の効果はほとんど期待できません。「薬をかけたのに効かない」というケースの多くは時期のズレや薬剤の選定が原因かもしれません。

発生時期

年2~3回発生します。

世代時期備考
第1世代5月~6月初発は5月上中旬頃
第2世代7月~9月初発は7月下旬
第3世代9~11月初発は10月頃

※地域差があります。

薬剤防除

【冬期(12~1月)】

冬期(12~1月)にマシン油乳剤の散布を行いましょう。成虫に対して効果がある薬剤は「マシン油乳剤」のみです。

越冬成虫へのマシン油乳剤の防除効果は高く、和歌山県を含めた各県で推奨しています。

※厳寒期には散布を避ける。 ※冬の散布もしくは春の散布のどちらかで2回散布はしない。

【5月~6月】

ヤノネカイガラムシ幼虫期の防除で重要な時期です。

タイミングによっては開花期と重なるため、適した薬剤選定を行いましょう。

【8月~9月】

被害に合うと果実の着色遅延などが見られます。

近年は暖冬の影響で秋にも発生が多く、また防除をしない場合もあるため収穫時に初めて被害に気づくケースも増えています。摘果の時には見られなかったのに収穫時に発見したという声も多いので後半も気をつけましょう。

農薬名倍数収穫前日数/使用回数分類備考
モベントフロアブル 250ml・1L2000倍収穫7日前まで/3回以内23ダニゲッターと同系統。秋にダニゲッター散布予定の場合、抵抗性を考えて連続使用は控える。残効が長い。(約1ヶ月)産卵抑制効果あり。
アプロード水和剤 500g1000倍・みかん
収穫14日前まで/3回以内
・かんきつ(みかん・すだち除く)
収穫45日前まで/3回以内
16地域により抵抗性あり。
残効が長い。(約1ヶ月)
産卵抑制効果あり。
アルバリン顆粒水和剤 500g2000倍収穫前日まで/3回以内4Aヤノネ・コナカイガラムシのみ。
カメムシ類と同時防除に。
コルト顆粒水和剤 500g2000倍収穫前日まで/3回以内9B1齢幼虫のみなので散布時期注意。
チャノキイロアザミウマ・アブラムシの同時防除に

この他にも薬剤があり、カイガラムシの種類によって効果に差があるものがあります。また、地域により抵抗性の程度は異なりますのでご注意ください。

生物防除

薬剤防除以外には有力な2種の天敵寄生蜂(ヤノネキイロコバチ、ヤノネツヤコバチ)による生物防除があります。この2種の寄生蜂は現在、全国の柑橘産地に定着しています。

耕種的防除

  • 寄生の多い枝を剪定時に切り落とす。
  • 健全な樹勢維持ができるように適正な肥培管理、着果管理等の基本管理を徹底する。(※効果の高い冬季マシン油剤の散布ができるように)

まとめ

弊社の会員様には毎年、地域別のヤノネカイガラムシ発生予察をお送りしております。

ヤノネカイガラムシの防除には、発生初期を見極めて幼虫期の的確な防除が大切になります。安定した収量の確保と高品質な果実生産のためには、病害虫の被害を抑えることが大切です。ヤノネカイガラムシをはじめ、発生状況や気象条件を把握し、効果的な防除に取り組みましょう。