ミカンサビダニの対策と農薬|柑橘の症状・被害果・発生時期・生態を解説

みかんが黒くなる?ミカンサビダニとは?

ミカンサビダニの被害果

最近、みかんの果実が黒くなる被害についてのご相談が増えています。すすが付着したような黒ずみではなく、上記の写真のように果実がぼんやりと黒く変色している場合は、ミカンサビダニによる被害の可能性があります。

ミカンサビダニは、柑橘類に発生する非常に小さなダニの一種です。新葉や果実に寄生し、口針を差し込んで吸汁し被害を与えます。

成虫でも体長0.2㎜にも満たないほど小さいため肉眼では見つけにくく、また、増殖率が高いので発生していることに気づいた時には、すでに被害が進んでいるケースも少なくありません。

成虫が芽の隙間(鱗片内)などに潜って越冬し翌年増殖するため、常に発生する園地では予防的な防除が必要となります。

ミカンサビダニによる柑橘の症状と被害果

画像はイメージです

7月頃までに加害されると、灰白色コルク状で「がさがさした象皮状」の被害が生じ、生育の進んだ8月以降に加害されると「茶~黒褐色」になります。

早い年には6月頃から果実への被害が見られ、日当たりのよい外側に位置する果実ほど被害を受けやすい傾向があります。

葉では主に葉裏に寄生し、寄生密度が高くなると葉がゆがんだり、褐色の細かいシワができたり葉裏が黒く汚れたりという症状が現れます。

ミカンサビダニの発生時期はいつ?

成虫が芽の鱗片(隙間)に潜んで越冬し、春になって芽が動き始めるとともに繁殖を開始します。

6月上中旬頃に葉から果実へ移動し増殖して加害を始めます。地域や気温などにもよりますが、秋の気温が高い場合には11月頃まで果実上での増殖や加害は続きます。

また、サビダニの被害は吸汁後、10~20日程度遅れて時間差で発生するため、果実での密度が高まった時期に防除しても防除前に加害された被害があとから現れてくることがあるので防除時期を逃さないようにすることが重要です。

最近の気候で・・・

ミカンサビダニは高温で雨が少ない条件で増殖しやすいとされています。反対に長雨や強い降雨が続く場合には、ミカンサビダニの増殖が抑制されます。

特に近年では、梅雨明け後に高温・少雨が続くことが多く、8月下旬以降遅くまでミカンサビダニの被害が発生することが多くなっています。

また、冬の気温が高い場合は越冬量が多くなり、前期被害が発生しやすくなります。

ミカンサビダニの対策・防除方法

ミカンサビダニの最も重要な防除時期は、葉や果実での密度が高まり始める6月上中旬です。この時期はチャノキイロアザミウマやカイガラムシ類などの防除も重要になりますので、園地の発生状況に応じた薬剤を選択してください。

また、毎年ミカンサビダニの被害が多発する園地やその近隣の園地では、一度の防除では密度を抑えられない可能性があるため、7月上中旬にも追加防除を行います。

ミカンサビダニは自ら移動するだけでなく、風によって発生した場所から周辺の樹へ広がることがあります。そのため、発生が多い樹はもちろん、周辺の樹についても発生に注意して防除を行いましょう。

一般的には、例年この時期(6月上中旬・7月上中旬)に薬剤を散布することで初期の増殖・被害を抑えていましたが、近年は梅雨明け後の高温・少雨が続いたり、秋季の気温が高いことで遅くまで発生が続くことがありますので、園内観察をしっかり行い、新たな被害を確認したら防除を行ってください。

ミカンサビダニに使える農薬・殺ダニ剤

【柑橘:ミカンサビダニの登録内容】

農薬名希釈倍数使用時期使用回数RACコード備考
サンマイト水和剤 劇物2000~3000倍収穫3日前まで本剤:2回以内
ピリダベンを含む農薬の総使用回数:2回以内
21Aミカンサビダニの防除に
アグリメック乳剤 劇物2000倍収穫7日前まで本剤:3回以内
アバメクチンを含む農薬の総使用回数:3回以内
6チャノキイロアザミウマの同時防除に
コテツフロアブル 劇物2000~6000倍収穫前日まで本剤:2回以内
クロルフェナピルを含む農薬の総使用回数:2回以内
13チャノキイロアザミウマの同時防除に
ハチハチフロアブル 劇物2000~3000倍収穫前日まで本剤:2回以内
トルフェンピラドを含む農薬の総使用回数:2回以内
殺虫:21A
殺菌:39
チャノキイロアザミウマの同時防除に
ダニゲッターフロアブル2000倍収穫前日まで本剤:1回以内
を含む農薬の総使用回数:1回以内
23ミカンハダニの同時防除に
登録内容は一部抜粋しているため詳しくはラベルやチラシからご確認ください。

登録農薬は他にもございます。また、農薬は登録内容が変更されることもあるため、農薬ラベルや農薬登録情報を必ずご確認ください。

薬剤の散布ムラにも注意

薬剤を散布しても被害が多発したという事例もありますが、被害状況によっては薬剤の散布ムラが原因であるということもあります。ミカンサビダニは非常に小さいので、ざっと散布するとかかりムラが多くなり、薬剤の十分な効果が得られないこともありますので、しっかりと丁寧に散布しましょう。

銅剤散布園は注意する

柑橘の防除では、かいよう病対策として銅剤が使用されることがあります。銅剤が何回も使われる園では、ミカンサビダニの被害が激しくなることが分かっているのでご注意ください。

まとめ

ミカンサビダニは非常に小さく発見しにくい一方、果実に大きな被害を与える害虫です。被害果を見つけてから防除するのではなく、被害が出る前に予防的に防除することが重要です。

前年に被害が多かった樹やその周辺は重点的に、特に6~7月は重要な防除時期として対策を行い、近年は高温・少雨の影響などによって、8月以降も発生が続くケースがあるため、園地の観察を続け、新たな被害が疑われる場合には早めに対応することが大切です。